はじめに

 「ちよろがの」は、私の父(クリスチャン、身体障害者、青島生まれ九州出身、戦争体験者、人を食った話が好き)が、齢八〇を越えた頃に、それまでパソコンでいろいろ書き溜めていた文章をまとめて作成した小冊子のタイトルです。「ちよろがの」の意味するところは「と、言っているではありませんか」という久留米(九州)の方言で、ずっと昔に亡くなった祖母が時おり口にしていた言葉でした。この言葉をその小冊子のタイトルとしたところの意図するところは、本編のエッセイを読んで頂いた皆さまが各自想像して頂ければ幸いです。

 冊子を上梓してから10年以上が経ちました。母は2023年に他界し、父は特養に入所して最近は体力も衰えてパソコンも使うことができなくなりました。いまや小さなともしびとなった父の生きた証であるこの「ちよろがの」をもっと多くの人に届けたいという思いが募り、このサイトを作りました。

2026年5月2日追記

 2026年4月25日、父中村雄介は他界しました。齢95歳、奇しくも31年前に亡くなった祖母と同じ歳まで命をつなぎました。
 父は2025年夏に体調を崩して入院し、その時は半月くらいで退院はできたものの、退院後はそれまでできていたパソコン入力などもできなくなり、また認知能力の衰えも顕著になりました。そのため以前のような会話もほぼできなくなり、人間としての父親の姿が日に日に薄れていくのを感じていました。
 お世話になっていた特別養護老人ホームから連絡があったときはすでに心肺停止状態で、話をすることもできずに急にお別れすることになりました。
幸いにも父はこの「ちよろがの」を残してくれました。父が人生で辿った魂の道のりをすべて同じように感じることは難しいとしても、折につけてこの文章を紐解きながら、父が見てきた光景や感じた思いなどを少しでも共有できたらと思っています。
 何かのご縁でこのサイトをご覧下さった方にも、父が残した人生の足跡を少しでも感じて頂ければと心より願ってやみません。

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