「‥‥急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい。『イエスは死人の中からよみがえられた。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお会いできるであろう』。あなたがたに、これだけ言っておく」。(マタイ二八・7)
結婚して子どもが誕生すると聞いてから、私は急に思い立って、初めて自分の仕事の営業に出かけた。主として近所の小さな商店や事務所などだが、身体障害者の私が名刺を持って知らないドアを開けて、訪問することがどんなに厳しいことか、骨身にしみて分かった。当然、すぐに注文してくれるはずはないとしても、あまり断わり続けられると、勇気も熱意もだんだん消えていく。途方に暮れる心地で、公園のベンチにかけていたこともある。そのような時、思い出されたのが前記聖書のみ言葉だった。
ガリラヤ=私たちが生きているこの世。心細い思いで生きている私たちに先立って、よみがえられた主イエスは、むしろ私たちがそこに来るのを待っていてくださっているのだ。それぞれの人生の重荷を負って生きている私たちを励まし、希望を与えるためにこのみ言葉によって、私は半世紀の歳月を生きてきた。そして、未知なるこれからの日日も同じように生きて行きたい。