生き残った者の痛み

 「日頃は、生きる者の基本的権利と考え、障害者の生存・生活の保障を訴え続けている私なのですが、こんどの東日本大震災で、私たちを救うために元気な働き盛りの多くの若者が亡くなったと聞くと、本当に心が痛み、そしてひどく申し訳ない気持になってしまいます。それで、眠れなくなったり、食欲が落ちたりするのですが、このような場合、どう考えたら、よいでしょうか?」

 「簡単に安直に、答えられることではありませんが、ただ言えることは、いまここに、私たちが確かに生きていることを自覚し、そのことのために尽くしてくれた彼らの愛の行為を心から感謝していくことが大切なのではないでしょうか。彼らの行為がなければ、あんな状況では私たちが生き残ったかどうか、分かりません」

 「確かにそうです。でも、これからの予想されるきびしい日々の中では、むしろ私たちなど、助けられない方が良かったなどと思うときもあることでしょう」

 「その思いは彼らの失った命を意味なくしてしまいます。どんなときでも彼らの愛の行為を思い起こして感謝することです。感謝の思いを持って過ごす『時間』が、私たち自身を平安にさせる唯一の癒しの力ですから。感謝の思いこそ生きる力なのです」

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