蛇のように賢く、鳩のように素直であれ

 「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」。(マタイによる福音書一〇・一六)

 何十年も前に聴いた、この聖句による説教の内容を、私はいまもよく記憶する。

 私たちが遣わされたこの世の現実は、真実に生きようとすればするほど、垂直に切り立った断崖のように、問題の壁が私たちの眼前に迫る。その前で私たちは希望を持ち続けるより絶望することに傾く。

 だが蛇のように賢くあれ。感覚的に嫌われ役の蛇が知恵あるものかどうかは別として執念深くどんな厳しい壁でもスルスルと這い登り、下からは遠くて見えないところに小さな解決の穴を見つければ、そこから壁をすり抜けて、問題の向う側に出る。そのためには、鳩のように素直であれ。多くの伝書鳩が四方何も見えないどんな悪天候の中でも一直線にその古巣に帰るように、私たちは聖書にまっすぐに帰るのだ。十字架を通して示されたキリストの福音に帰るのだ。試練の問題のただなかに立つとき、私たちはしばしば、その苦しみ、悩みに圧倒されて、現在、自分がどのように生きようとしているのかさえ、分らなくなってしまう。信仰生活の原点に帰れ。

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