鼻息荒く‥‥‥

 障害者は、だいたい寡黙である。表わしたい考えがないわけではない。むしろ、胸のうちに溢れるほどの思いはある。しかし、それを表わし伝える適切な言葉や表現の知識が乏しい。だからもどかさしさや苛立つ思いを呑み込んで、沈黙せざるを得なかった。でも、もう黙ってはいられない。どんどん障害者にとって不都合なことが出てきている戦後ようやく得た人間としての権利も危うくなってきた。弱肉強食の野獣世界のような経済効率第一主義。その延長線上に出てきた戦争のできる「普通の国」への転換は、障害者の生存さえおびやかす。だから、発言しよう。

 私自身、言いたいことは胸いっぱいあるが、言葉にすると障害の後遺症で、やはり発音が聞きとりにくいらしいから、できるだけ文章で表わしたいと思っているが、これもまた容易でない。何しろ手が使えないから、子どものときから口に鉛筆やペンをくわえてセッセと日記などを書いてきたが、年をとってくわえる歯がぬけてきたので、いまは唇にスプーンをはさみ、パソコンのキーをたたいて文章を綴っている。この文章も、このようにして書いているので(従ってキーの近くに私の鼻があるので)時に荒い鼻息のかかるのを、ひらにご容赦ください。

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