見せてくれたカギ

 同時多発事件の過激なテレビ中継シーンを息を呑むような思いで見つめていたとき、私は直感的に「この背景にはパレスチナ/イスラエル問題がある」と思った。最近、あるブックレットで「見せてくれたカギ(二〇〇一、二)」と説明された写真を見たが、三〇年間大事にしてきたカギでいつか自分の家を開けたいと希望する老女なのだが、実はその土地はもう外国人とイスラエル人の高級住宅地になっているという。なぜ、こんなことになったのか。パレスチナの人びとにとって理不尽で悲惨なこの現状を一刻も早く解決しなければならないのに、事態は逆にさらに深刻になっている。

 それは、あの事件以後のアメリカの「対テロ戦争」に便乗して、イスラエル政府が難民キャンプに追いつめたパレスチナの人びとの抵抗を『テロリズム』と決めつけて、圧倒的な軍事力で容赦ない攻撃を加えているからである。欧米諸国はなぜその暴挙をいつまでも本気で止めないのか。世界平和を脅かす紛争とテロの火種はここにある。キリストによる愛と平和を求める私たちは、彼ら自身がもっとも厭う「偶像崇拝」の「聖地意識」によって、狭く小さな土地を争い、他宗教・他民族を極度に排斥し、殺戮と破壊を繰り返すこの悲劇的な状況に強く抗議したいと思う。

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