出生率「0」

 以前、日本産婦人科学会が、生まれてくる子どもに重い遺伝があるかどうかを調べるために、体外受精卵の遺伝子を検査する「着床前診断」を認めることにしたと発表した。要はさまざまな障害を負った子どもの誕生を防ぐための処置だという。しかし、これは根本的に「生命倫理」に関わる問題だけに、慎重によく考えなければならないことと思う。

 特に私たち、神とそのみ言葉を信じ従い、隣人と共に生きることを願う者にとって、見逃してはならないことのような気がする。確かに、障害者が生きていく上での個人的・社会的問題は極めて重く深い。だが障害者になる原因は、生前だけにあるのか?

 仮に子どもがいわゆる「五体満足」に生まれて来たとしても、彼らが生きる「この世」は、多くの危険に満ちている。疾病、事故、紛争、天災等、障害をもたらす原因は数限りなく多い。

 医学技術の発達により、種々なあらゆる予防診断ができるようになったとしても、生まれてくる子どもたちはみな「神さまからの授かりもの」という素朴で謙虚な思いに立つべきではないか。

 もし現在の科学万能な考えのままで、将来コンピューターが更に進歩し、生前だけでなく、生後までもシュミレーションできるようになったら、私たちはそこでは全く予想外な数値を見ることだろう。出生率(0)。

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