キリストの平和を求めて

 過日「キリスト者平和の会」の出版記念会に出席して、図らずも多くの方々のスピーチを伺う機会を与えられ、戦後、朝鮮戦争勃発を機に、比較的若いキリスト者たちの熱意と行動で進められてきたこの運動の軌跡を、改めて知ることができた。また、出版されたこの会のOB・OGたち執筆の「文集」を通して、戦争の悲劇的惨禍を多くの者が尚まだ生々しく記憶している時期に、福音への信仰に基づき、キリストの平和を求めて立ち上がり、具体的な各面での支援を含め、様々に尽くされた真摯な証言を読み、深い感銘と、同じ志の者として、力強い励ましを得た。あれから半世紀。歳月は容赦なく昔日の若者も白髪を頂く者になったが、平和を求める社会的状況は、何ら変わらず、むしろ平和の危機は深まっている。それに即して文集の「はしがき」に「私たちは、もう一度新しく『キリスト者の平和』の結集を、考えなければならないのかも知れない」とあった。その熱い思いは半世紀前と同じだが、いま私たちが直面する問題は歴史的変化を遂げ、東西対立を背景にした「朝鮮戦争」からパレスチナ、イスラム問題を遠因にする九・一一テロ事件、それに便乗する憲法無視政策へと移った。温故知新。学ぶべきことは何だろうか。

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