マインド・コントロール

 以前、長女が一時働いていた老人施設で、アルバイトをしていた若い女性から、やっとの思いで韓国から逃れて来た話を聞いた。なんでも、「短大に入って東京に出てきたら、いろいろなサークルに誘われ、参加して仲間と適当に楽しくやっているうちに、いつの間にか親切な人々と一緒にソウルへ行こうということになり、出かけてみたら私も集団結婚式に参加することになっていると聞いて、急にひどく怖くなり、ホテルから必死に逃げてきた」とのこと。偽宗教のマインド・コントロールの魔の手を危うく脱した彼女は、その後も長く、その集団に怯え続けていた。

 十数年前、サリン集団殺人を起こしたオウム事件で知られるようになった「マインド・コントロール」。その後も姿や形を変えて悪用され、これにより前記カルト集団では、既に数千人の日本人女性が韓国農村で偽祝福のもと、生活させられているという。

 こうした状況を招いた遠因について「明治以後の日本の教育が読み書き計算ばかり教えて、人間としていかに生きるか、という肝心なことを教えてこなかったため」との指摘は、深く鋭いが、いま緊急に解決すべきこの不当な現状に対して、北朝鮮によるいわゆる「拉致事件」ほどには、国民的関心が生まれて来ていないのはなぜだろうか。

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